ここでではテノールのオペラにおける配役や具体的なキャラや東條作、そのキャラの性格などについてお話します。

 

テノールは主人公の役が多く、貴族や王子様はもちろん、吟遊詩人や軍人にはじまり、文字も読めない田舎者まで生真面目だったり能天気だったり、様々な役が存在します。脇役も多いですが、準主役級の役はテノールというより、バリトンなどが多い感じですね。

ソプラノやテノールなどの高声のパートには、歌声が軽い、重たいによって同じパートのなかでもレッジェーロ(軽い)からドラマティコ(重い)まで、さらに細 かい区分けがされています。実際にそのあたりも考慮しながら、テノールの声とキャラの配役について具体的にみていきましょう。

細かい声域の区分けについては、こちらをご覧ください→オペラの声域について-網羅版-

 

レッジェーロ

最も軽く、超絶技巧や超高音を得意とする声域です。ソプラノにはコロラトゥーラという超絶技巧専門職人のような分類もありますが、テノールにはありません。ソプラノで軽めの声の役は少女の役が多かったのですが、テノールは主人公である必要があるためか、あまり精神的に弱いキャラはいないですね。超絶技巧も感情表現の一種として使う感じです。

代表的な役

アルマヴィーア伯爵(セビリアの理髪師)、リンドーロ(チェネレントラ)、アルノルド(ウィリアム・テル)

リリコ・レッジェーロ

先ほどのレッジェーロより、超絶技巧の頻度は減りますがなおも技巧的な曲を多く歌う声域です。レッジェーロの代表的な役はロッシーニのオペラばかりになってしましますが、この声域になるとベッリーニやドニゼッティらが加わり一気に役が広がります。レッジェーロの声域の人がこの声域を役を歌う場合もあるので、そのあたりは柔軟な感じです。

代表的な役

マントヴァ伯爵(リゴレット)、エルネスト(ドン・パスクワーレ)、エドガルド(ランメルモールのルチア)

 

リリコ

叙情的な、しっとりとした歌が多い声域です。技巧的なメロディーよりも、感情を伝えるのに適したメロディーが多くロマンチックな役が多いですね。役も激情家よりも、夢想家、芸術家といった感じが多く、オペラでいうテノール像に一番近い声域かもしれません。

代表的な役

ロドルフォ(ラ・ボエーム)、アルフレード(椿姫)、ネモリーノ(愛の妙薬)

スピント

リリコよりも激しい感情表現が増えた声域です。リリコ・スピントというのもありますが、ここでは割愛。技巧的な表現はより少なくなり、声楽的に成熟した声による歌唱が求められます。このような激しい音を歌うことは歌手にとっては負担になりがちで、若い時、つまりどうしても成熟しきらない声で歌うと声は早くに死んでいきます。超絶技巧とはまた別の技術が必要となる難役が多いですね。

役の性格は怒りやすいというか、頭に血が上りやすいタイプが多くですね。

代表的な役

マンリーコ(イル・トロヴァローレ)、カヴァドラッシ(トスカ)、ラダメス(アイーダ)、カラフ(トゥーランドット)

ドラマティコ

スピントよりさらに重い、最重量級の役を演じる声域です。この声域に分類される歌手も、役も少なく聞ける機会は本当に稀です。

最早バリトンと聞き間違えるほどのテノール歌手もおり、それでいて高音もしっかりと出します。この声域の演奏は今までのテノール像を覆してくれるでしょう。

代表的な役

ドン・アルヴァーノ(運命の力)

 

ヘルデン・テノール

ヘルデンとは英雄を意味し、ワーグナー作品のテノールをこのように呼びます。特徴としては、ワーグナー特有の分厚いオーケストラの音を突き抜ける歌唱力が要求されます。

代表的な役

ローエングリン(ローエングリン)、ジークフリート(ジークフリート)