オペラと聞くと、体格の良いオペラ歌手が朗々と歌っている姿を思い浮かべる人が多いかもしれない。オペラの人気曲や有名曲ばかりを集めたCDもアリアと呼ばれる独唱曲や合唱曲を集めたもの、もしくは序曲集などだ。コンサートも同じく、オペラのコンサートというとNHKニューイヤーオペラコンサートなどのように序曲や合唱、アリアといった構成が一般的だ。

だが、オペラの長い歴史の中でオペラの一部分を取り出し、室内楽として編曲したものも存在している。

オペラと言えばやはり、大きなホールで演奏されると言うのが多い。作曲当時から少なくとも800人程度のホールで演奏される前提で作られたものが多く、当然、オーケストラの規模も大きくなる。

そのため、オペラのコンサートは大規模なオーケストラと歌手、というのが一般的というのも当然だ。

 

そのようなオペラを楽しむには聞く側はもちろん、演奏する側も気楽ではない。だが、室内楽として編曲されたオペラであれば、随分気軽に楽しめるものだ。この点は室内楽の良い点だろう。

加えて、オペラは総合舞台芸術であり目で耳で肌で楽しむものだ。一方で室内楽は比較的、耳で楽しむことに重きを置くことが出来る。今回はそんな、オペラ作品を元に室内楽として編曲された作品ばかりを扱うコンサートにうかがってきた。

 

CamerataProject-オペラOpera×室内楽MusicaDaCamera-Vol.2

まず、室内楽(Musica da camera)とはそのまま「室内で演奏される音楽」である。

かつて、今で言うクラシックでは

室内で演奏される音楽

教会でされる音楽

劇場で演奏される音楽

の3つに大まかに分けられていた。音楽を聴く、楽しむ場所が主にこの3つであったため、それぞれに合わせられた音楽が作られた。例えば、劇場の音楽はオーケストラの人数も数十人単位であり交響曲などが作られ、室内の音楽では4,5人などの少人数の構成が多くいわゆる弦楽四重奏などが作られた

ちなみに、室内楽でいう室内の規模感とは、貴族が登場する映画にあるサロンのような一部屋と考えてもらえるのが一番イメージしやすいだろう。

 

さて、今回のコンサートでの主な曲目は以下の通り

 

・ヴェルディ : 弦楽四重奏ホ短調

・ヒンデミット: 午前7時に村の井戸端で二流楽団が初見で演奏する「さまよえるオランダ人」序曲

・リスト : リゴレット・パラフレーズ S434/R267

・ワーグナー : 《トリスタンとイゾルデ》より「イゾルデの愛の死」(ピアノ五重奏版)

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演奏の様子

 

演奏は全て、東京藝術大学の学生達

室内楽、と言えどオペラを元にしている作品ばかりでどれも難しいものばかりだったが、若々しいフレッシュな演奏だった。

オペラ・ファシリテーターの観点から見ると、今回のコンサートで最も有名なメロディーであろうヴェルディ作曲のオペラ「リゴレット」リスト編曲のリゴレットのパラフレーズは、オペラ「リゴレット」の作中で歌われる「オペラで最も優れた四重唱」と言われた部分などが用いられており、ヴェルディとはまた違った「リゴレット」を”耳”で楽しむことが出来た。

 

また、オペラファンならば先に挙げた曲目を見て、ニヤリ、とする方もいるのではないのだろうか。ヒンデミットのシャレの聞いた編曲やリストの華麗な編曲も含まれるが、ヴェルディとワーグナーに絞って今回はプログラムが組まれていた。

ジュゼッペ・ヴェルディとリヒャルト・ワーグナー、全く同じ年に生まれながらも、ヴェルディはイタリアの象徴的作曲家になったのに対し、ワーグナーは”楽劇”と呼ばれる新しい形のオペラを作り出し”ワグネリアン”という熱心なファンが存在するほどのドイツの作曲家。

 

同じ時代のイタリアとドイツを生きた作曲家であるが故に、比較もよくされるこの2人を一度に、しかも室内楽で味わえる、これはオペラファンにとってはたまらない時間である。

ピアノや弦楽器は歌う様に演奏すると言われるが、歌の劇と訳されるオペラを室内楽として楽しめる貴重なコンサートであった。今後も、演奏者はもちろん、音楽監督や企画、制作達の若い才能に期待したい。

 

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